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わかりやすい漢方薬解説・漢方理論解説

「漢方薬」の定義とは

みなさんは「漢方薬」という言葉からどのようなイメージが浮かびますか。漢方薬をかの有名な広辞苑で調べてみると「漢方で用いる薬。おもに草根・木皮の類。」という答えでした。この定義は決して間違っていませんが、充分ともいえないでしょう。


漢方薬は一部の例外を除けば2種類以上の生薬を組み合わせて作られています。この生薬とは広辞苑が示した通り、植物の根や皮などが中心となります。それ以外にも実、種、葉なども使用されます。植物以外にも大型哺乳類(サイ、ゾウ、シカ、マンモスなど)の化石である竜骨や鹿の角である鹿茸など動物由来の生薬も多く存在します。


上記以外にも生薬にはヤマイモ(生薬名は山薬)、シナモン(生薬名は桂皮)、ミカン(使用するのは皮の部分で生薬名は陳皮)、薄荷、小麦、粳米、胡麻、紫蘇、山椒など食品やスパイスとして幅広く用いられているものも少なくありません。


ここで再び生薬から漢方薬に話は戻ります。恐らく日本で最も有名な漢方薬である葛根湯も葛根や麻黄といった7種類の生薬から成り立っています。この葛根湯は紀元後200年頃に書かれた傷寒論(しょうかんろん)という本に収載されています。


このように漢方薬と定義されるには一定の評価を得ている文献に、どのような生薬たちがどれくらいの量を必要とするのかなど記載されている必要もあります。 したがって、健康茶として歴史の深いドクダミやセンブリは上記の定義と鑑みて漢方薬とはいえません。サプリメントの成分として有名なマカやブルーベリーなども同様です。


さらに「どうき・息切れ・気つけに」のフレーズで有名な「救心」やラッパのマークで有名な「正露丸」は明治時代など近代に日本の製薬会社が生んだ薬であり、やはり漢方薬ではありません。これらはしばしば伝統薬や家伝薬などと呼ばれます。


逆にドラッグストアで売られているカコナールシリーズ(第一三共ヘルスケア)は葛根湯、ナイシトールシリーズ(小林製薬)は防風通聖散という漢方薬です。これらは恐らく製薬会社側が漢方薬本来の名前では他社製品と差別化ができないといった理由でカタカナの商品名にしたのかもしれません。


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文・女性とこどもの漢方学術院(吉田健吾)