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わかりやすい漢方薬解説・漢方理論解説

甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)

甘麦大棗湯の出典


金匱要略


甘麦大棗湯の構成生薬


甘草3-5、大棗2.5-6、小麦14-20


※上記は一般用漢方製剤承認基準(厚生労働省医薬食品局)より
※単位は1日当たりのグラム


甘麦大棗湯の効能・効果


体力中等度以下で、神経が過敏で、驚きやすく、ときにあくびが出るものの次の諸症:不眠症、小児の夜泣き、ひきつけ


※上記は一般用漢方製剤承認基準(厚生労働省医薬食品局)より


甘麦大棗湯の処方解説


甘麦大棗湯は心血虚(しんけっきょ)による精神不安を改善する漢方薬です。処方名は甘麦大棗湯を構成する甘草、小麦、大棗からそれぞれ採られています。もちいられている甘草は甘味料、小麦はその名の通りコムギ、大棗はナツメの実であり、食品としても広く使用されている生薬から構成されています。甘麦大棗湯は医食同源を体現する漢方薬といえます。


もともとは女性のヒステリー症状を改善する漢方薬でしたが、その後に夜泣きなどにも応用されるようになりました。これは甘草と大棗には強い甘みがあり、こども達でも服用しやすい点が評価されたのかもしれません。


甘麦大棗湯の中心となるのは心血を補う作用がある小麦です。甘麦大棗湯にはこの小麦がとても多く配合されています。大棗は気を補う作用がありますが、こちらも精神状態を安定化させる作用があり、小麦と協働して不安感や焦燥感といった精神症状を鎮めます。甘草は大棗と同じく気を補いますので、甘麦大棗湯には強くはないですが補気作用もあります。


甘麦大棗湯における補足


甘麦大棗湯はやや多めの甘草を含んだ漢方薬です。甘草はまれに血圧の上昇やむくみをともなう偽(ぎ)アルドステロン症候群を引き起こすことがあるので、甘麦大棗湯を中長期的に服用する際は注意が必要です。

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文・女性とこどもの漢方学術院(吉田健吾)