いつの時代も健康の維持は普遍的な課題です。21世紀に入り、医療技術は猛烈な勢いで進歩を続けています。将来、失われてしまった臓器などを蘇らせる再生医療も身近なものとなるでしょう。19世紀以降、猛威を振るっていた感染症に対して人類は衛生環境の改善や抗生物質の開発で対抗し、一定の成果を得ました。しかし、20世紀から21世紀にかけては食生活の乱れ、運動不足、過労といったライフスタイルに起因する生活習慣病などが新たな問題として浮上しています。時代が変わっても病気は消え去るのではなく、新たな形となって存在し続けているのです。
今日、女性とこども達を取り巻く環境もまた大きく変化しています。女性の社会進出は急速に進み、身体的にも精神的にも受けるストレスは増大しています。同様にこども達の生活圏は都市化と情報化が進んだことで利便性は向上した反面、心身の発育に適した環境とは言いにくくなっています。女性とこども達にとって現代は健康を損ないやすい社会といえます。
浮上している健康問題に対して西洋医学を用いて解決するという選択肢があります。その一方で、例えば強い生理痛に使用されるピルは大きな効果をあげる反面、妊娠を希望する場合は使用が困難です。こども達に西洋薬を使用する場合、そもそも小児用量が設定されていないものも少なくありません。副作用を心配されて、ご両親が西洋薬の服用をためらってしまうケースもあるでしょう。
私たち、女性とこどもの漢方学術院はその名の通り、漢方薬を用いて女性とこども達の健康の達成を推進してゆきます。西洋薬は病気を引き起こす病原体などの排除を得意とします。一方で漢方薬は身体内外の原因によって乱れてしまった気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)や五臓六腑のバランスを修正することで健康を取り戻します。このように全く異なったアプローチを志向する漢方薬は西洋薬とはまた違う可能性を秘めています。漢方薬はその服用に際して副作用や使用制限は相対的に低く、幅広く女性とこども達が服用できるというメリットもあります。
女性とこどもの漢方学術院では本ホームページや講演会などを通して、女性とこども達に焦点を当てた漢方薬の有効性や適正使用を後押しする情報を幅広く発信してゆきます。
一般社団法人 女性とこどもの漢方学術院
理事長 吉田健吾
1966年(昭和41年)、漢方専門薬局の管理薬剤師を中心に漢方薬の実践的な使用を研究するために設立された「漢方医科学研究会」を前身とする。2012年(平成24年)、女性と小児により焦点を当てた漢方薬の研究や情報発信を目的とする「女性とこどもの漢方研究会」へ改組。同年、活動拡大にともない組織体系を一般社団法人へ移行。組織名を「一般社団法人 女性とこどもの漢方学術院」へ変更。現在に至る。